「行って来ます」に込める思い
先週、新海誠監督が地元テレビに出演して、映画『すずめの戸締まり』について語っていました。
その中で、アナウンサーが
「『行ってきます』という言葉がたくさん使われていましたが、この言葉に込めた思いは何ですか?」
信越放送の「ずく出せテレビ」です。「ずく」は信州の方言です。「ずく出せ」はめんどうくさがらうやろうという意味。
「『行ってきます』と言って出かけても、帰ってこれないこともある。実際、東日本大震災ではそういうことがありました。(中略)だからこの言葉を大事にしたいと思いました」
息子は、このやり取りを聞いて、
「『行って来ます』って、出かけて必ず帰ってきますという約束の言葉なんだね。考えたことなかった。深い意味があるんだねえ」
たしかに、東日本大震災が起こるなんて2011年3月11日の朝、出勤したり登校する人たちは思いもよりませんでした。
「行って来ま~す」
って、いつもどおり出かけた人が多かったんだろうと思います。
でも、午後に大地震と津波が起きて、命を落として家に帰れなかったり、家族に会えなかった人がいる。
東日本大震災に限らず、不慮の事故もあるし、病気で突然ということもあります。
「今、この時、この瞬間を大事に生きなくちゃね」
昔、ラジオか何かで聞いたのですが、出かけるときに「行って来ます」とか「気を付けて行ってらっしゃい」とか声をかけあうと、かなりの確率で交通事故とかに遭わないで済むんだそうです。
『言霊』って言葉がありますが、ことばにはやっぱりなにか人知の及ばない力があるのかもしれませんね。
私はいつも、お父さんと息子の「行って来ます」には、「気をつけてね~」を欠かしません。けんかしたときも必ずです。お守りみたいな言葉です。